母校である徳島文理大学から手元に届いた冊子に掲載されていた、恩師である高橋倫子先生の記事。
(27才で大学へ入学した時に感じた事を書かれています)
高校1年生の頃、合唱部員だった私に
「あなたも声楽のコンクールに出てみない?」
と高橋先生がお声かけ下さったことが、後の私の歌人生に繋がりました。
私が徳島文理大学音楽学部への進学を決めた時も、
「中央の音大は受験しなくていいの?あなたの遠回りにならない道を。」と最後まで色々心配して下さった。
色んな“もしも”を考えるときりがないけれど、結果的に私自身は徳島の大学に行って良かったと思っています。
大学を経て上京し、日本オペラ振興会のオペラ歌手育成部に入ったとき、授業で言われることひとつひとつが私には新しく、輝かしく思えて、楽しくて仕方なかった。
「学びたい」「知りたい」と願い続けた知識欲が満たされる時の快感は、他の娯楽で得られる幸せとは少し違うものであるように思う。
“口を開けていれば欲しいものを詰め込んで貰えて、あとは噛んで飲み込めば良い”
という、最初から待ちの環境でいたら知るよしもなかった幸福感。
その幸福感が“もっと知りたい”、“これが出来たらあれも出来るようになりたい”という次への原動力になっていった。
授業中に先生方から言われたことを逐一メモしたノートは、引っ越しを繰り返しても捨てられず手元に残っていて、そこに書かれた言葉は未だに時々私の心を救ってくれる。
先日33歳になったばかりの今、この先の歌手人生の為に何をどう勉強していくかとあれこれ考えている最中に、たまたま恩師の記事を目にして、心に込み上げる物があった。
私も本気で生きたい。
今年の12月14日、徳島で歌います。
藤原歌劇団ソプラノ 楠野麻衣