徒然なるままに
徳島出身のオペラ歌手、楠野麻衣です。
「静と義経」をめぐる鎌倉歴史旅の続編でございます。
大姫と義高を偲んだ後は、源氏山公園にいらっしゃるお父様に会いに行きました。
岩船地蔵堂から行き方検索すると、
「“化粧板切通し”を通って源氏山公園へ」と出たので、
それに従って突き進むも・・・
と、上の画像の場所に突き当たる。
本当にこの道で合っているのかしら…?
想像以上に険しい道のりでございました…。
『化粧坂切通し』
“切通し”とは、トンネルなどを作る技術がない時代、山や丘を道を通れるように切り崩した道の事をいうそう。
“化粧板”の名前の由来は、平家の武将の首に化粧して首実検したところから来ているとか…おそろしい。
鎌倉には他にもいくつか切通しがあるそうです。
それにしても、この先の道のりが険しかった。
登るのは登れても、下るのは恐ろしいです。
足腰に自信のある方はどうぞ。
険しい道のりを登っていくと、広場があり、お目当てのお父様がどしっと構えていらっしゃいました。
鎌倉殿こと源頼朝さま。
若干くちびる厚めでございます。
頼朝役の森口さんと清水さん、どっちに似てるかしら…笑
お天気が良くって気持ちがいいのでベンチに座って休んでいると、木の陰からリスが顔を出しました。
↑分かりづらいですが、木の幹の右側にリス。
寄って行ったら、そのまま勢いよく木を駆け上がり、
あっという間にあんなところまで行ってしまいました。
かわいくて癒されました。
この像は、頼朝が治承4(1180)年に鎌倉入りを果たしてから800年を記念して建てられた物だそうです。
鎌倉殿は今もなお、鎌倉の街を見下ろす位置にどっしりと。
このオペラは「静と義経」ということで、静御前からの目線の物語ですから、愛する義経様と、その義経様の子供までもを殺されてしまい、
頼朝の残酷さには「何てことしてくれるの?!」と思ってしまいます。
ただ、3幕で義経の死を目の当たりにし、大姫の死を知らされた頼朝は、たった一人舞台に残り、アリアを歌います。
「悪は滅んだ と言ってはみたが
まこと滅んだのは誰あろう
このわしだ」
「源氏と名のつくもの
全てを亡き者にして
わしは一体何を勝ち獲ろうとしたのか」
「愚かなりし我が心よ
源頼朝 天下のたわけもの
孤独地獄で 孤独地獄で
狂い死にするがいい」
このアリアを歌う頼朝の後ろから、北条政子の笑いが重なります。
上に立つ者の苦しさ。
全ては昇り詰めるための正義と思ってやってきたことの、残したものは孤独。
何が正義で何が悪なのか。
この時代に生きたからこその苦しみに、胸が苦しくなったりします。
このアリアの前のシーンもすごく良いし、政子の笑いもなんとも気迫があって…
と語りたいところですが、長くなりそうなので一旦ここまで。
(パパとツーショット。笑)
次回の鎌倉歴史旅は母上、北条政子さまのお墓参りです。
「静と義経」公演詳細はこちら
【特設サイト】
https://www.jof.or.jp/performance/1903_shizuka/
藤原歌劇団・日本オペラ協会
ソプラノ 楠野麻衣